その気にさせる職業

kaijinsha2005-05-21


芝生の上での語り尽くせぬ青春の日々、時には傷つき、時には喜び、肩を叩きあったあの日♪そんな長淵的青春時代、僕等の体は絶えず青春まみれだった。ふと目を閉じれば、瞼の裏には青春時代のセルフジグソーパズル、これを制作するならば、要素は数多くあれど大概の人は多くのピースを友人の顔が占めることになるであろう、そのジグソーパズルのワンピースの一人森村、草野球ではアンダースローだった森村、俺が生まれて初めてデッドボールで乱闘した相手、森村、無駄に早いアンダースローが打てなくてストレスがたまっていたあの頃。青春時代・・・なんともスポーティーだったあいつが、中学校の英語教師なったという。教師とは赤の他人にして子供をその気にさせることのできる希有な職業である、「僕は今までいろんな生徒を見てきたけど、君なら役者になれるよ」・・・夕暮れの放課後、ただなんとなく口をついた恩師の台詞に突き動かされ、6年間生きる糧だったサッカーを捨て 高校入学と同時に演劇部に入った単純極まりない男こそ ミスターまっしぐら
こと三福ジャガーつまりは俺である。 ふと発した一言で、汗まみれの6年間を否定する力すら持つその破壊力、赤の他人に人生をねじ曲げられた俺、彼等はその発言に教祖的言霊が宿っていることを自覚してほしいものである。教師は強い言霊をもつ職業であるが、そのキーワードは「今までいろんな生徒を見てきたけれど・・」であろう。他の歴代生徒との比較のうえに発される統計学的台詞、これをくらってしまえば勘違いしないほうが難しい 特に齢40オーバーぐらいからは、見てきた生徒数も大分上乗せされてきて他に類をみない説得力が炸裂するわけである。 正義の拳を天に掲げ、愛の名の下に生徒をしばき倒していた豪傑先生、 そんな正義の拳をもつ輩も子供愛護団体PTAの16ビートの口撃の前に絶滅してしまった今、森村は教師として何を思うのか、早速電話してみると、困惑色のロートーンな答えの数々、どうやら コールアンドノーレスポンスの世界に戸惑っているようである、日陰でしか自分を表現出来ないネット世代の波、国民総
電車男の時代がそこまで来ているわけである。 森村には若人をその気にさせてほしいわけだが、ネットで統計を出せる彼等に 「今までいろんな生徒を・・」が効く気もしない、彼等には炭練炭的説得力が必要なのだろう、森村が年を重ねても同じような生徒しか経験出来てない可能性も高い、教師が言霊をネットに乗せるべき時代が来ている。 それでも 正義の拳の復権を期待したいもんである。・・・しかしながら、俺はどの立場から物を言ってるのだろうか、・・・最近、五月病だと自己申告するやつが多くてめんどくさい。