あの日の宝物

kaijinsha2005-06-26


みなさんこんにちは、ワタシは生きてきた分だけ増え続けていく思い出、そんな絶え間なく積み上げられていく思い出を愛して止まない男、通称思い出至上主義者こと三福ジャガーです。 世の中は思い出で溢れています、朝目覚めた時、たまに自分の体が心配になる程付着して湖を形成している枕の涎、眼鏡を掛けたまま寝てしまったはずなのだが布団近辺に見当たらない眼鏡、玄関を開けると予想以上に降っていた雨、朝起きてから玄関出るまでだけでも いくらでも思い出の要素が出てきます、そんな 無限にあるであろう思い出ですが、今回取り上げたいのは、その中でもプレシャスタイムとして特大の輝きを放つ“あの日の宝物と僕”というカテゴリーの思い出です、 僕の場合、初めて買ってもらった自転車、これこそがかけがえの無い“あの日の宝物”誰も踏み入ることの許されない聖域なわけです、あの頃の僕はあいつに夢中で、あばたもえくぼ とはよく言ったもんで どんな欠点も愛しく見えたものでした、親のセンスで選ばれし、見ず知ら
ずのヒーローが描かれていた その白黒のボディー、名前も知らぬヒーローに僕は無邪気にまたがり続けました、また補助輪付きのあいつは、真っすぐ漕いでるつもりでも必ず左に曲がっていくという可愛い癖を持った、左曲がりな奴だったので いつも右に行く感じで真っすぐ進んでいました、完全に壊れていただけなのですが、片方の肺が無いことを自慢する中年のように 会う奴会う奴に左曲がりのそいつを自慢していました。そしてその頃、そいつこそが最速だと愛故に信じ込んでいたので 友人と坂に差し掛かろうものならそいつの力を誇示するために 僕はいつでも120%の力で坂を駆け上がりました、・・・・etc 少し思い出すだけでもそのプレシャスっぷりに涙がとまりません、僕は確かにあいつを溺愛していたのです、そしてそんな僕の愛に確かにあいつも応えてくれてました・・・ そして半年ほど前、もう一度またがりたい!その一心で実家の車庫にて久しぶりにそいつと再開したのです、「・・・・ーっ。」ほとんど声になりませ
んでした、全身を茶色くコーティングした分厚い錆、ガングロになっていました、さらにトッピングとして張り巡らされた蜘蛛の糸推定一万本、メッシュも入れてあったわけです、 見ず知らずのヒーローの顔がうっすら見え隠れしているので間違いなくあいつでした、不良になってました・・・あんなに純粋で田舎者丸出しだったのに、再開も束の間、僕はそこで見たことを無かったことにすることにしました、ついにあいつまたがってやることは出来ませんでした。 スクラップ、それがあいつの幸せなのだと悟りました。 みなさん 思い出は美しいまま保存しつづけましょう。